分譲マンションは鉄筋コンクリート造りで、木造住宅よりもはるかに強度があります。すなわち耐用年数も長いのです。しかし、ほんとうにそうなのでしょうか?
「永住志向」「終の棲家」などと、分譲マンションのチラシやパンフレットではイメージがふくらむような文言が躍っていますが、実際は築50年〜築60年ともなると建て替えなければならないと、ひと昔前は言われていました。そうであれば、とても永住どころではない!!のです。管理が悪いと、さらに、その寿命は短くなるのです。
35年の住宅ローンを完済する前に建て替える必要がでてきたりすることはないのでしょうか?
50年、60年先には建て替えの可能性もあるのでしょうか?
建て替えのために新たにローンを組むことになれば、いつまでたっても住宅ローン地獄から抜け出せません。だからこそ、購入時に優良な分譲マンションを見極める必要があります。その判断基準を、このサイトではさまざまな角度から解説してきました。しかし、建物のハード面も、管理などのソフト面もクリアできたとしても、「安全」が保障されなければ、安心して暮らすことはできないのです。マンションの「安全」の大前提は、立地条件である。そして、立地条件を考えるときのポイントは「地盤」が大きな判断ポイントになります。そのチェックポイントを細かく解説してきましょう。
分譲マンションの地盤との関係性は、建物の設計や建築、そして建物の持続可能性に関わっています。地盤の条件は、建物の構造や耐震性、基礎工法、地下水位などに影響を与えます。分譲マンションの建設には、適切な地盤評価や確認が必要です。地盤の評価には、地質調査や地盤改良などが含まれます。分譲マンションの選択や購入の際には、適切な地盤評価がされていること、建物の耐震性や耐久性が十分に保証されていることを確認することが重要です。
いつか来るかもしれない大規模震災に備えてデベロッパー・売主が用意するマンションの安全や安心では、「免震構造」であったり、防犯性能の高い鍵や、セキュリティシステムの導入などがあります。もちろん、それらもとても重要なファクターで、「プラス資産」として考える場合、かなりウェイトの高い条件となります。ですが、いわば、そうした付帯価値をいくら高めても、肝心な「地盤」がもろくては、まったく意味がないのです。都市部では、地盤を気にする人は地方ほどはいないかもしれない。というのも、山は削られ、平地には道路が縦横に走り、川には堤防が整備されているため、土砂崩れや河川の決壊の危険性がきわめて低くなっているからです。そうした自然災害の発生の確率が低い都市部で、最も恐れられている自然災害と言えば、地震でしょう。他のページで、中古マンションの選び方のところで、建物の構造上の地震対策チェックポイントに関して、かなり詳細に説明しています。ここでは、「地盤」からそれを考察して行きます。
大規模地震はいつ襲ってくるか、どのくらいの規模なのか?
それは誰にもわかりません。
まったく予想が付きません。しかし、予想できないからと言って、神戸大震災クラスの地震に見舞われたら、ただ避けられない不運だったと、受け入れるしかないのでしょうか。日本列島を襲った地震としては、2013年10月の東日本大震災に続いて、2015年7月にも起きた熊本地震が記憶に新しいのではないでしょうか。高層ビルやマンションが乱立している関東圏でもかなりの揺れを感じたから、改めて地震の不安を切実に受け止めた人も少なくないでしょう。
この2つの大規模地震における地震の起因は活断層であったと言われる。その原因の一つが、活断層によるということであるならば、何をおいても、活断層を避けた地盤に建つマンションを探したくなるはず。現在、活断層の有無は比較的容易に調べることが可能だ。それなのに、マンションに限らず、不動産取得のときに、それをまったく考えていない人が多い。地震そのものの予測ははっきりと言って無理だが、発生の可能性が高い活断層があるかどうかくらいは、購入前に、ぜひ確認しておくべきだ。さらに、活断層以外にも注意すべき点は地盤の問題と言えよう。
地盤は住宅建築のすべての基礎となります。頑丈でしっかりした地盤がなければ、安全な建物は建たないのです。中高層建築のマンションにおいては、地盤が堅牢であることが最需要ともいえるのです。しかし、現実は、軟弱地盤に建ったマンションでも、平気で売買されている現実があります。もちろん、活断層の有無を含め、地盤の情報などは住宅情報サイトや情報誌にもほとんど載らないし、もちろんデベロッパーも触れません。しいて言えば、地盤について説明があるのは、20階以上の超高層マンション物件ぐらいだろうといえるのです。つまり、購入者が地盤に対して積極的は不安や疑問を抱かない限り、販売サイドは説明するつもりはないと心得てほしいのです。よって、自己防衛するしかないのである。これから地盤調査の具体的な方策を紹介していきましょう。
一般的には地盤とは地表面から訳100メートルほどの深さまでを指しています。地盤の善し悪しは、活断層が近くにあるかないか、また、地層的に固い地盤か、軟弱で液状化しやすい地盤か、これらが大きな判断ポイントとなります。それらの判断に役立つ情報ソースを紹介しよう。まずは次の5つのポイントを調べましょう。
@活断層マップ
A土地条件図
B登記簿
Cボーリングデータ(土質柱状図)
D液状化マップ
活断層マップや土地条件図は、全国の主要書店やインターネットでも取り扱っています。登記簿に関しては、登記所へ行けば取得可能です。ボーリングデータや液状化マップについては、市町村の建築指導課や防災課で閲覧ができます。
マンションを選ぶ際、耐震性能の確認は非常に重要です。地震が日本で頻繁に発生するため、建物の耐震性能は住む上での安全性を考慮するために重要な要素となります。
建物の耐震性能は、建築基準法に基づいた耐震や建築基準に適合することによって確保されます。建築設計段階での耐震設計や構造の検討が大きな役割を果たします。特に、耐震壁や耐震柱など適切に配置されているかどうかを注目しましょう。古い建物の場合、耐震補強工事が行われることがあります。建物の耐震基準に適合しない場合や、耐震性を向上させるために、補強工事が実施されることがあります。緊急なことを確認し、補強工事の状態を知ることが重要です。耐震性能を示すために、建物には耐震証明書が発行されることがあります。 これは、耐震性能を証明する重要な文書です。であり、購入の際はこの証明書を確認することが必要です。
また、プロの意見を聞くことも重要です。建築士や構造エンジニアなどの専門家の意見を得ることで、建物の耐震性能を客観的に評価できます。判断を行うことが安全な住環境を選ぶために役立ちます。総合的に考えて、耐震性能の確認は、マンションを選ぶ際に考慮できない要素です。 地震に対する安全性を確保するために、建物の耐震性能を十分に視野に入れて、安全な住環境を選ぶことが大切です。
地震に強い分譲マンションの特徴は以下のとおりです。
耐震設計に基づいて建造された地盤や建物の構造
地震時に安定している建物と地盤の接合部分
地震時に建物の安定性を維持するための設備、例えばショックアブソーバー
建物が建造されている地盤の条件、例えば砂地よりも岩地の方が耐震性が高い
地震発生時に住民の安全を確保するための設備、例えば疎水設備、防災システム
これらの特徴が備わっている分譲マンションは、地震時に建物の安全性が高く、住民の安全も確保される可能性が高いとされています。
東日本大震災でも湾岸地域などに、地盤沈下など液状化の影響が見られました。液状化は地震の際、地下水位の高い砂質の地盤で起こります。しかし最近の埋め立て地で被害の少ないところもあったように埋め立ての際、液状化を見越して地盤改良などの対策が施されているかどうかでも違ってきます。また建物の基礎に杭打ちなどの対策を施しているかどうかでも被害状況は大きく異なる可能性があります。液状化するおそれのある地域は湾岸の埋め立て地に限りません。内陸部にもそのおそれのある地域は少なからずあります。自治体によっては詳細な液状化マップをインターネットで公開しているところもあります。液状化のおそれのある地域にあるマンションを検討するときは、設計図書を閲覧させてもらうなどして、杭打ちなどの地震・液状化対策について、不動産会社から説明を受けましょう。また、第三者の建築士やホームインスペクターに依頼して、設計図書をチェックしてもらうなど、慎重に検討する必要があります。
同じ基準で建てるとすべて同じ強さになるのかというと、必ずしもそうではありません。たとえば1階がほとんど駐車場になっていたりするピロティ構造の建物は、耐震性が弱いといわれています。東日本大震災でも全体に新耐震設計で建てられたものは被害が少なかったのですが、ピロティ構造だけは例外でした。大きな被害が発生しました。新耐震設計基準で建てられていても大きな被害を受け たものがあったということです。
実はピロティ構造は壁が少なく、ほとど柱だけで2階より上の重さを支えなければなりません。そのため地震の大きな揺れに耐えられず、1階が崩壊してしまったという例が多かったの です。同じように、1階に大きな店舗が入っている場合も弱くなることが あります。
東日本大震災・熊本地震では、ピロティ構造とは逆に、壁量が多く、かつ均等に配置されている中低 層のマンションでは、古くてもほとんど被害がなかったそうです。建物の形ではほかに上階が極端にセットバックしているものや上から見た平面形状が不揃いなものも安定感に欠けるといわれています。見た目の面白みには欠けますが、箱形で、シンプルかつ壁の多い建物が一番安定しやすいということです。また、建物は地盤の上に載っているので、地盤がしっかりしているほうが間違いなく安定します。地盤が不安定になりがちな傾斜地やもと沼地だったところに建っているような場合は、杭打ちなどの適切な対策がしっかり行われているかを設計図を見せてもらって、確認したほうがいいでしょう。
●1階に壁の少ない建物形状は耐震性が低い
●複雑な形状や劣化のひどい建物も弱い
●地盤や杭にも注意が必要